画質と音質にこだわるなら、Super HiVi CAST
HiVi CAST ハンドブック レッスン1



「コントラスト」調整の基本をマスターする

HiVi CASTの一歩踏み込んだ使い方を解説するレッスンシリーズ。ここでは、このDVDを使いこなすうえで必要になる基礎知識の解説や、一歩進んだ使い方について、封入した解説書よりもいっそうていねいにノウハウを掲載していきます。第1回目は、映像調整の基本となる「コントラスト」についてフォローアップしましょう。

 このDVDには、大きく分けて2つのコンテンツが収録されている。ひとつが映像調整篇「ビデオチューンナップ」、そしてもうひとつが5・1chサラウンドセッティング篇「オーディオチューンナップ」だ。連載はまず映像篇からスタートする。今回は「コントラスト」の合せ方だけにテーマを絞って、できるだけわかりやすく説明していきたい。
 HiVi CASTが手元に届いて、封入されている解説書を見ながら調整したけれど、正直なところ「ホントにこれでいいの?」と不安に感じている方も多いのではないだろうか。この連載が、そんな不安を少しずつ自信に変えていければいいと思う。

まず視聴環境を整えること。
それがすべてのスタートだ


 都会の雑踏でいくら素晴らしい楽団が演奏したとしても、そのよさは聴き手に伝わらないだろう。聴こえるように大きな音で演奏すれば、旋律は伝わるかも知れないが、それでは繊細な音の表情や抑揚がめちゃくちゃになる。それと同じことが映像にもいえるのだ。都会の雑踏に相当するのが周囲の明るさ。プロジェクターはもちろん、プラズマ、液晶、ブラウン管などの直視型といわれるディスプレイを調整する場合でも、そのコントロールがひじょうに大切だ。もちろん、明るいリビングルーム的環境下でもHiVi CASTを使った映像調整は可能だが、ディスプレイ機器のもっともおいしい部分を使うことは、残念だができない。
 DVD中でも解説しているが、できればこのHiViの誌面の文字が読めるか読めないかというぐらいの暗さまで、部屋を暗くしてほしい。全暗がベストだが、生活環境下ではそうはいかないこともあるだろう。ディスプレイの画面を見ながら、部屋を暗くしてみれば、それだけで画面から受ける印象が大きく変ることに気づくはず。そう、部屋を少し暗くすること自体が、有効な映像調整(映像イコライジング)なのだ。
 そして、映像の調整は、いつもの視聴ポジションで行なおう。とくに液晶テレビは、見る角度によって黒表現が大きく変化するケースが多いので注意が必要だ。
 もうひとつ確認しておきたいのは、映像信号の供給方法。つまり接続で、できるだけ条件のよい方法を使いたい。コンポジットよりはS、SよりはD、Dよりは3本のピンプラグで構成されるアナログコンポーネントだ。デジタル接続という選択肢もあるが、現状ではまずアナログ入力で正しい映像を引き出すことが先決である。


→HiVi CASTには、コントラスト調整用に3種類のテストパターンが収録されている。写真は最初の1枚で、もっとも再現が容易。下のグラフは、ディスプレイに入力される信号の強さと画面の明るさの関係をグラフ化したもので、コントラスト調整とは、そのグラフ右上端付近の傾きとその終点の調整を意味することがわかるだろう
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←次号で解説する予定の「黒レベル」は、グラフ左下端付近の傾きとその始点の調整を意味している。グラフの傾きが水平に近い、つまり信号レベルの変化に対する明るさの変化が少ないので、「コントラスト」よりも調整しやすく感じるはずだ。ただし、調整しやすいことと表現能力の優劣はまったく別のことであって、映像としてのパフォーマンスは表示素子の特性に大きく左右される

「コントラスト」は
映像の白を決める


「コントラスト」の意味を調べると、ふつう「明暗比」と書かれているはずだ。たとえばDLPプロジェクターのコントラストが5500対1だとしたら、表現できる暗さの限界を1としたとき、表現できる明るさの限界が、その5500倍のところにあるという意味になる。映像イコライジングの場面においても、その意味は大筋で同じだが、少しわかりにくくなるので、ここでいうコントラストは、イコール白レベルと考えてほしい。ディスプレイによっては、コントラストのことを「ピクチャー」「ユニカラー」「映像」などと表示していることもあるので注意してほしい。
 では、HiVi CASTの「ビデオチューンナップ」メニュー画面から「コントラスト」を選んで調整に入ろう。ここでまずやらなければならないのは、使っているDVDプレーヤーの映像調整を標準状態に戻すことと、ディスプレイの映像モードの選択だ。映像モードとは、「ダイナミック」「スタンダード」「シネマ」「リビング」「ユーザー」など、ディスプレイにあらかじめプリセットされている、メーカーおすすめの映像イコライジング設定だ。なかには、この設定に対して、いっさい映像イコライジングできない製品もある。調整さえできれば、基本的にどれを選んでもかまわないわけだが、本誌の取材で映像イコライジングのスタートポイントとして選ぶのは、たいてい「シネマ」系か「スタンダード」系である。なぜなら、それがもっとも私たちが求めている映像に近いからだ。画面に「コントラスト95/95/100」チャートを映し出したままこの映像モードを切り替えてみよう。それだけで、たとえば白の見え方がゴロゴロと変るのがわかるはずだ。

「カーボン」
↑100%付近だけでなく、もう少し暗い部分まで見ながら調整したい、あるいはグラデーションチャートではわかりにくいという場合は、このテスト信号を使ってほしい。画面右上端に100%の白領域があるので、そこが白くとばない(つぶれない)ように調整してみよう。また、コントラストの変化に合せて暗い部分がどう変化するのかも理解できる
「ホワイト バックグラウンド」
↑「ビデオチューンナップ」の「コントラスト」でも使われている映像。メインメニューのテスト信号集から「ホワイト バックグラウンド」を選ぶと動画表示される。収録時のスタジオ照明によって、背景を100%の白とした映像だ。メニューボタンを押すまで繰返し再生されるので、じっくり確認するときにおすすめ。ポイントはスカートと背景の判別

 さて映像モードが決ったら、ディスプレイを、映像調整項目のうちのコントラストがコントロールできる状態にしよう。
 ここで行なう調整は、前ページのグラフで示した、右上の○囲みのなかの曲線の傾きと終端の位置を変化させることにほぼ等しい。テストパターン上に書かれている数字は明るさのパーセンテージ(%)であり、IREという単位で呼ばれるものと同一だ。
 調整の第1ステップは、まずコントラストを最大にしてみること。一般的なテレビやプロジェクターなら、この段階で、画面中央の3ステップの境界線が判別できなくなっているはずだ。第2ステップでは、そこから少しずつコントラストを下げてみる。すると、徐々に3つの領域の境目が見えてくるだろう。この境目がきちんと判別でき、なおかつ100%の白が、先ほどコントラストを最大にした状態から暗くならないポイント、それがすなわちコントラストの最適点ということになる。はじめのうちは、この最適点が見いだしにくいと思うので、とにかく3つの領域が判別できたところで調整を止めておこう。

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タイトル チャプター 内容
1 1 プロローグ
1 2 接続方法
1 3 調整の準備
1 4 コントラスト解説
+90/95/100チャート
1 5 95/97/100チャート
1 6 98/99/100チャ‐ト
1 7 「ホワイト バックグラウンド」
による確認
1 8 黒レベル解説
+0/5/10チャート
1 9 0/3/5チャート
1 10 0/1/2チャート
1 11 「ブラック バックグラウンド」
による確認
1 12 色合い解説
1 13 色合いチャート
1 14 色の濃さ解説+チャート
1 15 「マテリアル」による確認
(色合い、色の濃さ)
1 16 シャープネス解説+チャート
1 17 動画による確認
1 18 ガンマ調整解説+チャート
1 19 映像イコライジングの
相互作用に関する注意
1 20 RGBゲイン、RGBバイアス、


色温度調整解説
+RGBバイアスチャート
1 21 RGBゲインチャート
1 22 色温度チャート
1 23 テスト信号紹介
↑ディスクを装填し再生すると、テーマ映像に続いて、このメインメニューが表示される。「コントラスト」を調整するためには、ここで「ビデオチューンナップ」の項目を選べばよい。「コントラスト」の調整中にテスト信号を表示させたい場合は、DVDプレーヤーのリモコンの「トップメニュー」ボタンを押して、このメインメニューへ一旦戻ってから「テスト信号」を選ぶ

↑HiVi CASTのメインメニューから「ビデオチューンナップ」を選ぶと表示される。タイトルは「1」で、この下の「プロローグ」から「RGBゲイン、RGBバイアス、色温度」までには、さらに細かくチャプターが打たれている。繰返し調整するときに重宝するはずだ

 次に、今調整した状態のまま、「コントラスト95/97/100」チャートを呼び出してみよう。明るさのレベル差が狭まり、先ほどより表現がむずかしい映像だが、ここでも先ほどと同様に3つの領域が判別できるようにコントラストを微調整すればよい。先ほどの「コントラスト90/95/100」チャートでコントラストを上げすぎていると、3つの領域の判別がつきにくいはずなので、少しづつ下げてみよう。もし、判別できる状態までコントラスト設定を下げたとき、100%の白がグレーに見えてしまうなら、すでにディスプレイの白表現の限界を超えていると考えてよい。その場合は、コントラスト設定を少し戻して、白が白らしく見えることを優先した方が、実際の映画ソフトなどを観たとき、自然に感じられる。これがクリアできたら、「コントラスト98/99/100」チャートでも、同じような調整を試みてほしい。
 100%付近の白の表現は、じつのところたいへんむずかしい。表示デバイスの特性を正確に把握し、その能力をきちんと発揮させる映像処理回路を積んでいるか? そして、その使い方は的確か? ディスプレイ製造メーカーの実力が、そしてわたしたちオーディオビジュアルファンの使いこなしが試される部分である。

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