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HiVi CAST ハンドブック レッスン7



「RGBバイアス、RGBゲイン」調整の基本をマスターする

 HiVi CASTの基本的な使い方をマスターしていただくためのページをスタートして、早くも1年が経ちました。映像篇の最後のテーマとしてお届けするのは色温度。プロジェクターやテレビのカタログやHiViの記事を読んでいると、この単語によく出くわしますよね。「色温度6500K」とか、「色温度が高い、低い」。さて「色の温度」っていったい何のこと? 今回は、そのあたりの説明から始めることにしましょう。

 色を表現するための用語や規格には、さまざまな種類がある。オーディオビジュアルの分野で使われるものだけに限っても、色の濃さ、色合い、色乗り……。前回取り上げたRGBバイアス/ゲインも、結果として色を左右するパラメーターだ。もちろん、今回取り上げる「色温度」という言葉も色を表現するための用語。
 では色温度とは何か? ある物体が特定の温度になった時に発する色を、その温度で表すーー大雑把に言って、これが色温度の基本的な考え方だ。もちろん、物体によって温度と発色の関係は異なる。色温度測定に用いられるのは、「完全黒体」と呼ばれる物体で、これは外部からあたる光や電磁波をすべての波長において完全に吸収するという特性を持っている。現実には、完全なものは存在しないと言われているが、それに近い物質は存在するようだ。その完全黒体を加熱していったときに発する光の波長を、絶対温度で表現したものが色温度というわけだ。単位はK=ケルビン(0℃=273.15K)。
 たとえば、鉄を溶かす溶鉱炉。どろどろに融けた鉄の色を見て、熟練工はその温度を理解する。物体は完全黒体ではないけれど、それと同じことだと思ってよいだろう。
 色温度は、低ければ暗いオレンジ色。そこから色温度が上がって行くと白くなり、さらに高くなると青になる。朝日や夕日が発する光の色温度はだいたい2000K、昼間の太陽光で5000から6000Kと言われている。HiViの記事のなかで「色温度が高い」という表現があったとすると、本来なら白いと思われる部分の映像が青っぽく見えていることを意味している。逆に「色温度が低い」なら、同様に黄色っぽく見えているということだ。
 色彩工学の分野では、色温度6500K(D65と表記)が標準の白とされている。また、日本とアメリカのテレビ放送における色温度の基準は6500K。だが今日の日本では、映像コンテンツ提供側も受像機側も、これよりずっと高い色温度でソフトの製作やハードの設計を行なっている。

さまざまな色温度調整方法

色温度は白と肌色で決めよう。
色の濃さの微調整も有効だ


 それでは、テレビやプロジェクターの色温度調整に入ろう。ここで注意しておきたいのは、「色温度」が調整パラメーターのひとつとして設けられているとはいえ、それがディスプレイ機器内部の光源温度を調節しているわけではないということだ。オーディオビジュアル機器の分野で色温度を調整するということは、光の3原色たるRGBの混合比、ガンマ特性、RGBバイアス/ゲインなどを総合的に調整して、該当する色温度に近いと見なされたプリセット値を選ぶということに他ならない。ディスプレイ機器に用意された「色温度」設定を切り替えてみて、白の色味だけでなく、特定の色が色温度の変化とは異なる軸上で変化することがあるのはそのためだ。
 今日のディスプレイ機器における「色温度」切替えは、多くの場合、「高」「中」「低」の3種類として準備されている。ただし、各段階が相当する色温度の数値については、公開されていないケースも多く、また公開されていたとしてもまちまちである。ある機器で「高」が1万2000Kでも、他の機器では9300Kであったりすることを頭に入れておこう。

HiVi CASTをつかった色温度調整

 色温度の調整で着目したいポイントは、映像のうちの白と人物の肌色だ。HiVi CASTでは、「色温度」調整用画面として、上のような2分割画面を用意している。まず、現状のままで画面左側の100%白を見てほしい。パッと見て、青白く見えないだろうか? 家庭用テレビの場合、買ったままの状態では、ほぼ間違いなく青白く見えるはずだ。テレビに用意された映像モードを映画鑑賞用(シネマ、映画などと表記される)にすることで、色温度が連動して変化するケースもあるので、まずこれを試してみてほしい。この100%白の画面は、色温度の変化がもっともわかりやすいので、愛用ディスプレイの色温度変化の範囲を把握するためにも役立つはずだ。
 左側の100%白画面で、自分のイメージする白にもっと近い設定を選んだら、今度は右画面の女性モデルの肌色に注目してみよう。コントラストや黒レベルなどの基本5項目が正しく調整されていないと、判断を誤るので、もう一度確認しておきたい。どうだろう? 自分がイメージしたとおりの自然な肌の色にみえるだろうか。肌が黄色っぽく見えたら、色温度が少し低い証拠。1段階色温度を高くしてみよう。「低」では低すぎるが「中」では高すぎる、そんな場合は、次善の策として、「色の濃さ」を少し下げ、「コントラスト」を少し上げてみるのも有効な対策だ。こういった微調整の段階では、右半分の女性の肌色を重視してほしい。映画再生では100%白の画面は少ないこと、日常的に接していることもあって肌色は人間の視覚においてひじょうに敏感な領域であることなどがその理由だ。肌色に対する違和感は不快である。
 映像イコライジングに関する基本的なレクチャーは今回で終了。次回は、テスト信号の賢い使い方についてリポートしたい。

色温度に使えるテスト信号


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