画質と音質にこだわるなら、Super HiVi CAST
HiVi CAST ハンドブック レッスン9



どんなソフトをどのように 楽しみたいのか?

 レッスン9を迎えたHiVi CASTハンドブック。実際の映像機器を使ったエクササイズ篇まで含めると、都合14回を数えることになります。さて、今回からはサラウンド再生を想定したオーディオ篇。本誌でも、4月号から6月号まで、いろいろなカタチのサラウンド再生について、特集を組んできました。そこで得た知識をもとに、このチェックDVD「HiVi CAST」を使って、サラウンドセッティングを完璧なものにしましょう。

 さて、それでは5.1ch再生を成功させるためのノウハウについて解説していこう。HiVi CASTの「サラウンド再生システムの概要」に収められたイラストとナレーションによる解説をご覧いただいてから本稿をお読みいただくと、一層の理ご理解をいただけることと思う。

オーディオチューンナップ「5.1chサラウンドセッティング」

 サラウンド再生に挑戦するにあたって、まず考えなければならないのは、自分が、その部屋でどんなソフトを楽しむことが多いか? だ。それによって、まずスピーカ—の置き方が変ってくる。その一例が、ディスク中で解説しているダイレクトサラウンドとディフューズサラウンドである。ダイレクトとは、サラウンド(リア)スピーカ—からの音を、文字通り視聴者の耳に直接届かせる方法で、音楽ソフト再生においてマルチチャンネルという手法が台頭しつつある今日では、ITU-R(BS.775-1)というルールに則った方法が多く用いられるようになった。ITU-Rとは国際電気通信連合の無線通信部門を表し、そこで、ある一定のルールに則ったスピーカー配置が勧告として発表されているのだ。今日では、音楽の制作現場にて、このITU-R BS・775勧告に基づくスピーカ—配置が広く利用されており、そうしたモニタリング環境を経て制作された音楽作品を楽しむための必然の方法として定着したというわけである。つまり、ITU-R BS・775勧告に基づくスピーカ—配置で音楽のマルチチャンネル作品を聴くということは、制作スタジオでミキシングを手がけたエンジニアの視聴環境と同じ状態を作り出すことに近似である。
  ただし、このセッティング方法、一般的な住宅の四角四面の部屋のなかで実現させようと思うと、えらく苦労させられることになる。というか、通常は不可能だ。一般に、フロント左右のスピーカ—は、その外側の壁面に対し、比較的近距離にセッティングされることが多い。下の図をご覧いただくとわかるように、その状態のままITU-Rの勧告に忠実であろうと各スピーカ—から視聴位置までの距離を等しく保とうとすると、リアスピーカ—は壁面にめり込んで、隣の部屋にはみ出してしまうのだ。
  そこで、ITU-Rセッティングで制作されたパッケージソフトの再生を重視するAVセンターなどでは、ディレイという電気的な操作を加えることで、各スピーカ—と視聴者との距離を等しく保つ機能を導入して、一定の対応を図っている。物理的な距離が短くなるので、それを電気的に長くしよう、つまり視聴者への到達時間を遅らせようというわけだ。

ダイレクトサラウンドの考え方

 このセッティングでもうひとつ問題となるのは、ディスプレイとセンタースピーカ—の干渉を避けるために行なわれる置き方の変更である。ホームシアターでは、たとえばプラズマテレビや液晶テレビの下に、横長のスピーカ—、あるいは縦長のスピーカ—を横置きにせざるを得ない。この場合、同一ブランドの同一ユニットからなるスピーカ—を使ったとしても、音の放射特性が変ってしまうので、若干の音色変化はやむを得ない。HiVi CASTを使って、センターと右、あるいはセンターと左という組み合せで音色を合せようという場合には、こうした置き方の違いによる音色変化を念頭に置いておきたい。
  またリアスピーカーの音軸を変化させることで、後方の音像イメージをある程度コントロールすることも可能。ITU-Rに基づく基本的なセッティングが完了して以降は、そこをセッティングの出発点と考え、HiVi CASTの「スピーカ—の音量と位相チェック」項目に収録されているナレーションや楽器の音を聴きながら、少しづつリアスピーカ—の向きを変化させてみてほしい。
  ITU-R BS・775勧告に基づくセッティングをベースとして、それぞれの視聴環境とのマッチングがうまく行なえた環境では、マルチチャンネル音楽ソフト鑑賞が楽しくてしかたなくなるに違いない。このセッティング方法は、最適視聴位置、すなわちスイートスポットが狭い反面、ツボにハマったときの快感には離れがたい魔力がある。リビングルームよりは、プライベートシアターにおすすめしたいメソッドといえる。

ディフューズサラウンドの考え方


リビングで映画を観るなら ディフューズサラウンドで


 対するディフューズサラウンドは、私たちがドルビーサラウンドとしてその世界に触れて以来、今日まで約20年間にわたって挑んできたスピーカ—のセッティング方法である。見方を変えれば、ITU-R BS・775勧告以外のサラウンドセッティングはすべてディフューズであるともいえる。左の図では、ITU-Rと比較しやすくするために円を残しているが、同一円周上の配置を意識する必要はない。ディフューズサラウンドの原点は映画館であり、当然そこに同一円周上にスピーカーを配置するという概念はないからだ。
  ディフューズサラウンドでは、視聴位置に対する音軸の角度、高さなど、セッティングにかなり幅がでてくる。映画音響におけるサラウンドの主体は、主に音による包囲感の演出にあり、そのために指向特性のブロードなものや、2方向への指向特性を持つダイポール型スピーカ—などを使うケースもある。当然、スイートスポットが広くなるため、家族の集まるリビングルームで映画を楽しむという視聴環境などに向くいえよう。
  次回は、HiVi CASTに封入されている5.1chセッティングシートを使って、ITU-R BS・775勧告に基づく環境整備に挑戦してみたい。

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