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HiVi CAST ハンドブック レッスン10


ITU-R配置をベースとしたスピーカー配置に挑戦しよう

前回、マルチチャンネル再生の基本となる2種類のスピーカー配置に関する解説を行ないました。少々、理屈っぽい話に終始してしまいましたが、これからセッティングを実践していくうえでたいへん重要なポイントが含まれているので、よく理解しておいて下さいね。さて今回は、そんな理論を踏まえた実践篇。超精密スピーカーセッティングに挑戦です! とはいっても、用意するのものは1本のひもとプッシュピン(画鋲)ふたつ。意外と素朴ですね。

 リビングルームに5本のスピーカ—をセッティングするだけでもたいへんなのに、そのすべてを視聴距離から等距離に置くなんて、できるわけがない……。ITU-R設置をあきらめている方のほとんどがそう考えているのではないだろうか? しかし、たとえ正確なITU-R配置が実現できなくても、また最初からディフューズ(拡散)サラウンドを狙うにしても、規定された開き角と、視聴位置から等距離のポイントが自分の部屋のどの位置になるのかは確認しておいた方がよい。理想的なセッティングはできなくとも、理想的な状態を知っているのと知らないのとでは、スピーカー配置の最終的な完成度が大きく異なる可能性があるからだ。ITU-R配置に対して、自分が行なっている現実的配置がどの程度はずれているのかがわかれば、たとえばAVセンターなどで行なう距離補正(ディレイタイム設定)の概念も理解しやすくなる。またITU-R配置は、原理原則に則ったステレオ配置がベース。だから、たとえディフューズサラウンドを実践するにしても、フロント3本については、ITU-R配置を出発点にできる。このように、一度、自分がスピーカ—セッティングしている、あるいはしようとしている空間でITU-R配置のシミュレーションをしてみることは、じつはとても大切なことなのだ。

●HiVi CASTの5.1ch DATA SHEET

 さて、ここからはいよいよスピーカーセッティングに入ってゆく。身近にある日用品を使って、ひとりでもできる方法を使うので、ITU-R配置が可能不可能にかかわらず、一緒にトライしてみてほしい。
  用意するものは荷造りひもと画鋲2本。あとはセロテープと巻き尺、そしてHiVi CAST。まず、HiVi CASTに封入されている解説書(ブックレット)を取り出し、その裏表紙に印刷されている「5.1ch DATA SHEET」をコピーしよう。コピー機の拡大率を160%に設定すると、A4サイズの用紙ぴったりにコピーできる。次に、設置するフロントスピーカー(左右どちらか)と視聴位置を結んだ距離に等しい思われるだいたいの長さに、荷造りひもを切り出す。1本でよい。切り出したひもの片側は、プッシュピンの柄の部分に引っ掛けられるよう、輪を作っておこう。
 
●スピーカ—配置の準備

 続いて、残った荷造りひもを使い、相対する部屋の角と角の間にひもを這わせる。残ったコーナー同士も同様にして、その交点を割り出そう。そこが部屋の中央、ひとつの理想的な視聴位置になる。部屋にあるソファやテーブルを移動できないときは、ひもを空中に這わせればいい。もちろん、これは部屋を専用ルームとして使える前提での理想的な視聴ポジションなので、制約がある場合には、リスニングポジションは適宜移動させて構わない。しかし試してみたら、現状がドンピシャリ部屋の中心だったとか、その理想位置を軸に家具の配置を再考してみたらよい妥協案が見つかるということがあるかもしれない。
  こうして、部屋の中心もしくは適当な視聴位置が見つかったら、そこに拡大コピーした「5.1ch DATA SHEET」を置き、中央の「listening Position」に画鋲を差して床に留めよう。この段階で、このシートをいろいろな方向に向けてみると、だいたいどの位置に各チャンネルのスピーカ—が配置されるかがわかるはずだ。各スピーカーを置くべき位置がすでに定まっている場合には、その向きで「5.1ch DATA SHEET」をセロテープなどで固定しよう。

●スピーカ—配置の実際(1)

床にコンパスで円を描く。ITU-Rは案外シンプルだ。


 次に、先ほど片側を輪にしておいた荷造りひもを取り出し、「5.1ch DATA SHEET」を留めたプッシュピンにひっかておく。ここで、センターch用スピーカーを仮置きしてみよう。センターレスで行くなら、左右chのどちらか。で、置いたスピーカーのフロントバッフルの裾にピタリ合うように、ひものもう一方に輪をつくって、こちらもプッシュピンで留める。このとき、「5.1ch DATA SHEET」のセンターchの軸に、ひもがきちんと合っているか確認しておこう。次にスピーカー側のプッシュピンをはずし、ひもを移動させて「5.1ch DATA SHEET」上の左右どちらかの軸に合せ、ふたたびプッシュピンで床に留める。このとき、さきほどと同じテンションがひもにかかるように注意しよう。でないと、距離が変ってしまうからだ。この動作を繰り返して、サブウーファーを含む6台のスピーカーの距離を合せていけば、各スピーカーの等距離配置が実現するわけである。言葉にするとややこしいが、要は床にコンパスで円を描く要領なので、実際にやってみるととても簡単。ものすごく遠い存在に思えたITU-R配置がずっと身近に感じられるはずだ。


●スピーカー配置の実際(2)

 もちろん、サラウンドchのどちらか、あるいはセンターチャンネルが、フロント左右chに対して短くなったり、遠くなったりせざるを得ない状況もあるだろう。そんなときは、各距離を巻き尺で実測して、「5.1ch DATA SHEET」にメモしておこう。物理的な距離の違いは、電気じかけで対処できるのだから。そのあたりについては、次号で紹介して行きたい。

(HiVi CAST担当 K)

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