画質と音質にこだわるなら、Super HiVi CAST
HiVi CAST ハンドブック レッスン11


スピーカーの接続チェックとレベル合わせをやってみよう(前編)

 スピーカーのITU-R設置に挑戦した前回。一般的な生活空間において、規格どおりのセッティングを行なうことはなかなか難しいですね。でも、ちょっとだけその規格をくずして応用すれば、案外、うまくいくものです。たとえば、サラウンドの方チャンネルだけを試聴位置に近くする。そこからは、AVセンターのいろいろな調整機能を使って、左右不揃いをカヴァーしていきます。そんなとき、HiVi CASTがあれば百人力、というわけですね。

 前回に引き続き、ITU-Rを基本としたスピーカーセッティングの具体的な方法について、HiVi CASTを使いながら解説していきたい。さて、荷造りヒモと2本の画鋲を使ったスピーカー配置は説明どおり行なえただろうか? 日常生活での動線、居住性、既存の家具・調度との折合いなどなど、一般的な住環境の中では妥協しなければならない状況も多いはず。左右前後が不揃いでも構わない。まずは、ITU-Rに添ってスピーカーを置いてみてほしい。その状態から、すこしでもいい音を引き出すための方法を、これから数回にわたってお届けしていきたいと思う。
  さて、前回おとどけ出来なかった項目として、サブウーファーの配置がある。実はITU-R規格では、サブウーファーの位置を規定していない。一般的には、サブウーファーが受け持つ程度の帯域になると、音に対する指向性を感じなくなるといわれており、どこに置いてもよいとされている。しかし、そのクロスオーバー周波数の設定や、サブウーファー自身が発する共鳴音や付帯音などによって、そのありかは意外と簡単に聞き分けられるものだ。つまり、サブウーファーはどこに置いてもよいわけではない。月刊HiViなどで視聴を行なう際、サブウーファーは、フロントスピーカー、左チャンネルの外側に置くことが多い。数千、数万の視聴を行なってきたなかで、自然とその位置に定まった。サブウーファーの置き方には諸説あって、フロント左右の間には置かない方がよいとか、視聴位置のすぐ後方に置くのがよいという意見もある。もちろん、部屋という空間の特性とのマッチングという要素も考えなければならないので、一概にどこがよいとはいえないのだけれど、スタートとして、左チャンネル、もしくは右チャンネルの外側に置くというのは悪くない選択だと思う。置き方は、サブウーファーのタイプによっても変化するが、床面にベタ置きとするよりも、インシュレーター、ウッドブロック、スペーサーなどを挟む方が、低域のだぶつきが抑えられて好ましい結果を生むようだ。

 ここまでで、5本プラスサブウーファーのラフな設置が終った。次は、前回記入した「5.1ch DATA SHEET」を見ながら、AVセンターに各種データを入力していく。AVセンターの設定メニュー画面から「ディレイタイム」設定あるいは「距離」設定に準じる画面を出して、実測して得られた数値をインプット。ここでは、サブウーファーを除く全チャンネルを2.0でセッティングしたので、その数字をセットした。サブーファーは、天面の中心までの距離を測ったので、少し長くて2.5m。



いろいろ試してみたい コンフィギュレーション


 ここでもうひとつ設定しておかなければならないのが、スピーカーコンフィギュレーションだ。このパラメーターは、7.1chとか、9.1chとか、最近増えてきた5.1ch以上のサラウンド再生を可能にしたAVセンターではとくに重要なもの。ここで設定を間違えると、せっかくセッティングしたスピーカーから音が出ないということになる。今回は基本の5.1chなので、コンフィギュレーション画面にSBとかSRAなど、3本以上のサラウンドスピーカーを使う設定があっても、働かせないようにしよう。6.1チャンネル以上のサラウンド再生については、今年の5月号で詳しくご紹介しているので、興味のある方は再読いただきたい。



 このスピーカーコンフィギュレーション設定にはもうひとつ重要な意味があって、それが、各チャンネルのスピーカーサイズの選択。ラージ、スモールというあれだ。前回誌面上で取り上げたスピーカーはビクターのSX-LT55。だから当然ラージを選ぶ。このラージとスモールの境界はじつのところひじょうに曖昧だ。50Hzの低音が再生できればラージとする、というのがドルビー研究所の指針(HiVi CASTもそれに準じて制作されている)だが、50Hzで基準音圧を満たしているかどうかは、一般のオーディオビジュアルファンにはおそらく判別できないはず。ウーファーユニットの口径で判断することにも、いくらかの矛盾を含む。ここでは、ラージにするかスモールにするかでもし判断に迷ったら、まずはラージを選ぶことをおすすめしておきたい。ラージは、サラウンドデコーダーで5.1chに分解された音声信号が、以降、スピーカーをドライヴするまで、もっともストレートな信号の流れとなる選択。デジタル信号処理により、音の劣化はおさえられつつあるとはいえ、バスマネージメントプロセスは省けるなら省いた方が音のためにはよい。まずラージ設定で基本セッティングを行ない、音を出してみる。ラージかスモールかの判断が難しいスピーカーの場合は、そこで両者の音を聴き比べてみればよいのだ。聞きどころは、サブウーファーとの音のつながり方。サブウーファーやAVセンターのクロスオーバー周波数との兼ね合いもあるが、前者はいちばん高い周波数(パスがあればパス)に、後者はデフォルトのままで、ラージとスモールを切り替えて聴き比べてみよう。サブウーファーがそれだけで鳴っているように聞こえるなら、メインスピーカーの低域が、サブーファーの上限帯域まで伸びていない可能性がある。もしスモールに切り替えてそういう現象が軽減されれば、そちらが正解の可能性が高い。よほどボリュウムを上げて、重低音たっぷりのソフトを再生しないかぎり、ラージ設定で使ってもスピーカーが壊れることはないはずなので、はじめからラージ、スモールと決めつけずにトライしてみてほしい。
  スピーカーコンフィギュレーションまで終ったら、HiVi CASTのナレーションにしたがって、各チャンネルの接続チェックを行なおう。続いて、フロント左右スピーカーの極性チェックだ。ここから先のセッティングでは、このスピーカーの極性が全チャンネルで正しいことが前提となる。ナレーションと楽器「ティンバレス」を聴き比べていく単調な聴き比べとなるが、ここはひとつ頑張ってほしい。

(HiVi CAST担当 K)

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