画質と音質にこだわるなら、Super HiVi CAST

スーパーHiVi CASTで復習するAVの基本
【第1回】本当の高画質とは何か?

以下の記事は2009年8月号(7月17日発売)に掲載したものです。

5月30日から一般販売がスタートし、読者のみなさんにご愛用いただけるようになったBDチェックディスク「スーパーHiVi CAST」 その使い方をサポートするページが、このHiVi8月号から連載を開始。ここでは、映像と音声の設定・調整方法について、ディスクに収録されている内容に則しながら解説する予定。第1回となる今回は、ブラウン管時代とは大きく変った現代の映像信号処理の一端について考えてみましょう。

2009年、時代は完全に固定画素型ディスプレイのものになった

 DVD盤の「HiVi CAST」を発売した2004年、読者のみなさんが愛用するディスプレイはブラウン管が主流だった。大きなサイズのプラズマや液晶テレビはまだまだ高価で、画質的な満足度も充分に得られておらず、フラットテレビがオーディオビジュアルユースのメインディスプレイとして成熟してくるのには、まだまだ多くの時間が必要だろうというのが大勢の見方だった。しかし、その後の高画質化技術の進歩はすさまじく、そしてそれに反比例するかのように下がる価格もまた驚異で、薄型テレビはあっという間にディスプレイの主役の座を射止めることになった。2009年のこんにち、フルハイビジョン1920×1080画素、37V型液晶テレビは10万円前後で購入できるところまできている。

 ディスプレイが表示する映像の特徴は、ブラウン管か、液晶か、プラズマか、で大きく変わる。なかでも映像のよし悪しを評価する項目として上げられることの多いコントラストは、一般的に、ブラウン管が100,000対1、プラズマが4,000対1、液晶が1,000対1程度とされている。コントラストとは、映像のもっとも明るい部分ともっとも暗い部分の比。液晶の場合、もっとも明るい状態が1,000だとすると、もっとも暗い場所はその1,000分の1にしかならないという意味だ。これはデバイスそのものの参考値。

 ところが実際の映像をみるとどうだろう。プラズマも液晶も、今では、ブラウン管をはるかに凌ぐコントラストを実現しているかのように見える。カタログ上に、メガコントラスト(1,000,000万対1以上)の文字を踊らせているモデルも存在するほどだ。

それは自分の感覚に適応する技術ですか?

 では、どのようにして、コントラスト数千対1のデバイスを使って、その100倍にもなる性能を実現しているのだろう。そこにはいくつかの技術がある。デバイスの表面に使うフィルター、コーティングなどもそのひとつ。同じメーカーの液晶あるいはプラズマテレビでも、シリーズによって、あるいは画面サイズによって、電源オフ時の表面色が違ってみえるのは、それぞれに最適化したものを貼付しているからだ。

 そして、見た目のハイコントラスト、つまり高いダイナミックコントラストを実現するために投入されている電気的な処理の存在には注意したい。プラズマや液晶テレビの製造を手がけているメーカーは、このダイナミックコントラストを稼ぐためにさまざまな手法を使っているからだ。

 その考え方の基本は、入力される映像信号を細かく分析して、それに応じた電気的な処理を行なうというもの。たとえば、画面全体が明るいと想定される時は、黒から白への明るさの変化がはっきりとわかるようにし、暗いと想定される場合は、デバイスそのものが持つコントラスト再現範囲を、緻密な黒表現のために重点的に利用するという具合。実際に行なわれている電気的なコントラスト改善は各社各様だが、入力信号を表示デバイスのいちばんおいしいところに割り当てるという、処理を行なうという点は共通といえる。背後から光を当てなければ映像として見えない液晶テレビでは、最近になって、このバックライトに新しいシステムも導入され始めた。それが発光ダイオード(LED)をバックライトとして利用するアイデア。しかも同じように入力信号を分析して、1画面のなかに暗い部分があれば、そこだけLEDを消してしまおうというのである。バックライトが消えるので、理論的にはコントラストを無限大とすることができる。

 一方プラズマに限れば、自発光の元となる予備放電(種火)を最小限とすることでコントラストを飛躍的に高める手法が重要。デバイスの基本的なコントラストを高めるための工夫として欠かせないもので、そのうえで、入力に応じた電気的処理を加えている。

 ブラウン管時代にも、入力される映像信号に合せてデバイスの駆動手法を変化させるという考え方は存在した。しかし、現代のフラットテレビのそれは、緻密かつ大胆で、ひじょうに巧妙。だから、通常は不満もなく、パッと見て画質がよいと感じてしまう。 

おまかせ映像調整に満足できますか?

 こうした適応処理は、最近では視聴環境や再生するソフトの素材まで見分けるようになっている。今再生しているのが、もともとはフィルムなのか?、ビデオ収録なのか? それによって、それぞれにふさわしい画調を作り出す。また、今何時なのか? 部屋に灯っているのは蛍光灯なのか、電球(電球色の蛍光灯)なのか? それによってテレビの色温度やコントラストなども調整してくれる。

 一般に、こうした機能はとても有用かつありがたいものなのだが、時に自分の好みに合わなかったり、破綻をきたすこともある。また、入力ソース本来の映像を損なっていないかどうかは、私たちにとってひじょうに重要な事柄だ。チェックBD「スーパーHiVi CAST」を読者共通のテキストとして使うこの連載には、愛用のオーディオビジュアルシステムで好きな映画や音楽を楽しんでいて、その絵や音にふと疑問を感じた時に立ち止まって読んでいただきたい。絵と音をつくるのは、信号処理回路ではなく自分自身。それに気がついたとき、あなたは趣味のオーディオビジュアルのスタートラインに立っている。


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